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引き継ぎ作業の小ネタ

前置き

この4ヶ月半ほど、いわゆる情報システム部門に居ました。 そして人が交代することになり、仕事の引き継ぎをしました。 要は現在の仕事を次の人に説明するわけです。 それで、効率的な説明の方法が思いついたような気がしたのでここで晒します。

想定読者

  • 仕事の引き継ぎをする必要がある人。
    • 特にいわゆる情シスの人。
  • 仕事の全体像を把握する枠組みに興味がある人。

仕事の分類とその引継

ここでは、以下の様に仕事をグループ分けしたいと思います。

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言いたいことは大体この図で言えている気もしますが、個別の説明を続けます。

縦軸に作業が決まっているかいないか、横軸に周期的に発生するかしないかで分類します。 それぞれのエリアに名前を付けます。内容をイメージできるような名前がいいですね。

  • 定型・定期
    • 「刺身たんぽぽ」
  • 非定型・定期
    • 「年中行事」
  • 定型・臨時
    • 「早さ命」
  • 非定型・臨時
    • 「変化ヲ抱擁セヨ」
    • このサブエリアとして、「一期一会」「今そこにあるお仕事」。

「刺身たんぽぽ」エリア

一定の周期で、一定の作業を行う仕事です。 スケジューリングや作業見積もりが立てやすい比較的簡単な作業のエリアです。 環境が自動化を許せば人間がやらなくても良くなるかもしれません。 慣れてくれば退屈してしまうでしょう。長く続けても成長は望めない仕事のエリアです。

具体的には以下のとおりです。

  • システムデータのバックアップ
  • ログデータの処理
  • 月次、週次の事務手続き
  • 利用者部門にやってもらう定期的作業のリマインドのアナウンス

引き継ぎ方

単純にやり方を説明すればよいです。特に難しいことは無いでしょう。

「年中行事」エリア

いつやるべきかわかっているが、内容はその都度検討するエリアです。 スケジュールは立てやすいですが、予め作業内容や量を見積もるのはしにくいです。

情報システム部門というのは、管理部門に属することが多いと思いますが、 管理部門での作業(行事)の手伝いなどがこのエリアに入ります。

具体的には、週次会議、月例会議の手伝い。新人研修のテキスト執筆と講師。 上場企業なら株主総会、決算説明会など。 場合によっては懇親会とかBBQとかボウリング大会とか社内イベントの手伝いも入るかもしれません。

また、24/365な自社サービスをやっている場合は、システム保守作業を 定期的にやっているかもしれません。それもこのエリアに入ります。 いつやるかは予めスケジュールされますが、何をやるかはその都度計画する作業です。

引き継ぎ方

大スケジュール表を示して、何時どんな行事があるのか示せればよいです。 仕事内容についてはその都度検討するでしょう。あなたがその検討会議に入る必要はありません。 引継期間中にその行事があるのならば、一緒にやってもよいでしょう。

「早さ命」エリア

何をするかは既に定型化されているが、いつすべきかは予想がつかない作業のエリアです。 作業量はわかりますが、いつ必要が発生するかはわかりません。 「速さ」ではありません。「早さ」です。スピードが速いのではなく納期が早いことが価値です。

具体例についてです。情報システム部門は何らかの社内システムを管理していると思います。 そのユーザ登録管理がこのエリアに該当します。 人事異動・組織変更から発生することも多いでしょう。

また、利用者部門のPC管理もこのエリアに入るでしょう。 入社したので購入することや、退社したのでとりあえず情シスがプールしておいて必要時に利用してもらう、といった管理が考えられます。

引き継ぎ方

このエリアについてはも、それぞれ手順を教えれば良いです。 現在あなたが対応途中のものはあなたが実行し、新たに作業依頼が来るものについては次の人にやらせればよいです。

「変化ヲ抱擁セヨ」エリア

いつ何が来るかわからない作業のエリアです。 急に発生する課題・問題に対して、すぐその場で状況理解と優先度と重要度の判断をし、 必要ならば実行計画策定と実行が求められます。

事前に発生を想定して対応を考えることは却ってやらないほうが良い作業のエリアです。 そもそもできませんから。「こんな事もあろうかと」なんていうのは実際上は歩留まりが悪いものです。

具体的には以下の様な作業が入ります。

  • 即対応必要なセキュリティ対策作業。
  • PC利用トラブルのサポート。
    • ネットワークとかプリンタとか
  • 社内システム関連作業
    • トラブル対応
    • 設定の調査や変更依頼対応
    • 機能追加/拡張の依頼。機能作り込み依頼の対応。
  • 外部の急な意思決定変更。
  • 誰かが握りこんでいた納期間近の作業の対応。

また、以下の様な作業も入ります。

  • 現在あなたが進めている作業。
    • 作業の全容は発生時期含めて不明なはずです。
    • 「今ここにある作業」エリアとします。
  • 今後発生することは無いと考えられるような作業。
    • 一度しか起こらない作業です。定型とは言い難いです。
    • 「一期一会」エリアとします。

引き継ぎについて

まずは以下の3点です。

  • 過去の事例を軽く紹介。
  • 管理している社内システムついて必要な範囲で伝達。
  • 今後、どのような作業が発生しそうか軽く紹介。

内容の詳細について詳しく説明する必要は必ずしもありません。 また似たような作業は来るかもしれませんが、同じような作業が来るかはわからないのです。

「一期一会」エリアについては、作業の名前だけ紹介し、 事例として文書や資料や手順を残しておけば十分です。 発生しないと思ったけど実際は発生した時に役立てれば良いのです。

「今そこにあるお仕事」エリアは状況を見て考えなくてはなりません。 現在進行している作業は状況の変化もろとも引継ぐ必要があるのでその分大変になります。 状況が込み入っていて、あと少し完了させられるものはあえて引き継がずにあなたが完了させるのも手です。引き継ぐならば、進めながら引き継ぐ事になります。作業をある程度進めておいて、細かい状況を伝えなくても良いようにしておくと引継が楽になります。

まとめ

作業を4つのエリアに分けて、それぞれどうするかを述べました。 定型的作業をまず伝えて、状況を見ながら非定型作業を進めるのがよいでしょう。 何かのお役に立てばよいかと。

おまけの考察

いわゆる5W1Hのうち、What とWhen を軸としてまとめるかたちになりました。 そういう意味では

  • Who
    • 誰がやるか。平社員か、幹部社員か。
  • Why
    • どんな理由か。外部的な理由か、内部的な理由か。

なども軸として考えても良いかもしれません。一人情シスの場合、Who軸は無意味かもですが。 Where については、現場かリモートかで分けても良いかもしれません。

おまけの感想

これを考えている間、いわゆるアジャイル開発のことも考えていました。 リリースとフィードバックの速度を上げて、 状況や意思決定の変化に追随しながらシステムを開発するということで、 なかなかやはり高度で難しいのだなと思った次第です。